フランス・ブルゴーニュ地方、コート・ド・ニュイの銘醸地ジュヴレ・シャンベルタンで、ピノ・ノワール100%から造られる村名格の赤ワインです。
「レ・クレ」は、砂利や小石を多く含む水はけのよい土壌を持つ区画。樹齢40~50年のブドウから、凝縮感のある果実味と、しなやかで繊細な質感を備えたワインが生み出されます。ドメーヌが所有する区画は約0.61haです。
ラズベリーやチェリーを思わせるみずみずしい果実香に、スミレの花や柔らかなバニラのニュアンスが調和。豊かな果実味を持ちながら重さに偏らず、若いうちから親しみやすい、明るさと気品を兼ね備えたジュヴレ・シャンベルタンです。
【ワイン】
外観は、透明感と輝きのある美しいルビーレッド。
グラスからはラズベリー、チェリー、野イチゴなどの赤い果実を中心に、ブラックチェリーを思わせる熟した黒系果実の香りが広がります。そこにスミレやバラなどの花、甘いスパイス、樽由来の柔らかなバニラのニュアンスが重なり、華やかで奥行きのある香りをつくり出しています。
口に含むと、古樹が育んだ豊かで密度のある果実味が、みずみずしい酸とともに広がります。タンニンは細やかで滑らか。しっかりとした中心の芯を感じさせながら、口当たりは重すぎず、ピノ・ノワールらしい繊細さと透明感が保たれています。
果実味、酸、タンニンが立体的に重なり、余韻には赤い果実、花、ほのかなスパイスとバニラの風味が続きます。ジュヴレ・シャンベルタンらしい骨格を備えながら、若いうちから香りが開きやすく、親しみやすいこともレ・クレの特徴です。生産者も、赤い果実の豊かな香りと軽やかなバニラ風味を持ち、瓶詰め後の比較的早い時期から楽しめるワインと説明しています。
ブドウは手摘みで収穫し、完全に除梗。発酵前に低温浸漬を行った後、野生酵母によって自然にアルコール発酵を進めます。発酵・醸しの期間は約15日間です。
発酵後は澱とともに樽で12~18カ月間熟成。レ・クレにはアリエ産の新樽を約3分の1使用し、樽香が果実を覆い隠すことなく、ワインに丸みと穏やかなバニラの香りを加えています。
【醸造所】
ドメーヌ・ジェラール・セガンは、ジュヴレ・シャンベルタン村に本拠を置く、1850年頃から5世代にわたって続く家族経営のワイナリーです。
初代アレクシ・セガンはブドウ栽培に加えて接ぎ木の技術にも精通し、19世紀末にブルゴーニュを襲ったフィロキセラ危機の際には、アメリカ系台木への接ぎ木を早くから導入した先駆者の一人となりました。その功績により、接ぎ木技術に関する数々の表彰を受けています。
その後、ピエール、ジェラールへとドメーヌが受け継がれ、2006年にはジェラールとシャンタルの息子ジェロームが参画。ジェロームはボーヌでブドウ栽培と醸造を学び、2018年に両親の引退を受けてドメーヌの経営を引き継ぎました。
現在はジュヴレ・シャンベルタンを中心に、シャンボール・ミュジニー、フィサン、マルサネなどで約6.25haの畑を管理し、すべての区画でピノ・ノワールを栽培しています。畑を過度に拡大せず、それぞれの区画に細やかに向き合うことで、土地ごとの個性を表現しています。
畑では化学除草剤を使用せず、年間を通して土を耕し、土壌の微生物や水資源の保護に努めています。芽数や房数を厳しく制限し、必要に応じてグリーンハーヴェストを行うことで、1株当たりの収量を抑え、健全で十分に熟したブドウを育てています。なお、病害虫への対応は観察に基づいて必要な範囲で行う、合理的な栽培方針を採用しています。
醸造では伝統的な手法を尊重しながら、温度管理が可能な高性能のステンレスタンクや空気圧式プレスなどの設備を導入。野生酵母による発酵と穏やかな抽出を基本とし、樽は果実味やテロワールを支えるための手段として、過度に主張させないことを大切にしています。瓶詰め前の濾過も、ワインの状態を確認し、必要な場合にのみ軽く行います。
【お料理との相性】
豊かな赤系果実の風味と滑らかなタンニンを持つため、鴨肉や鶏肉などの家禽料理とよく合います。生産者は、羽毛を持つジビエやソースを添えた鶏肉を代表的な組み合わせとして推奨しています。
鴨胸肉のローストや鴨のコンフィ、鶏肉とキノコの赤ワイン煮込みなどがおすすめです。ワインのラズベリーやチェリーを思わせる果実味が肉の旨味に寄り添い、フレッシュな酸が脂を心地よく引き締めます。
ローストポークや豚ヒレ肉のソテー、牛肉の赤ワイン煮込みとも好相性です。ジュヴレ・シャンベルタンには、ローストポーク、牛肉の煮込み、ステーキ、ジビエなどが産地公式の組み合わせとして挙げられています。
森の下草やスパイスにつながるニュアンスがあるため、キノコ料理にもよく合います。ポルチーニ茸のリゾット、マッシュルームを添えたチキンソテー、キノコとベーコンのキッシュなどに合わせると、ワインの香りに奥行きが生まれます。
和食では、鴨鍋、焼き鳥のたれ味、牛肉のすき焼き、豚肉の生姜焼きなどがおすすめです。醤油やみりんを使った甘辛い味付けが、熟した果実味と柔らかな樽の風味に自然になじみます。
チーズでは、エポワス、ブリ・ド・モー、熟成したコンテなどと好相性です。特にエポワスは、ジュヴレ・シャンベルタンの公式なペアリングにも挙げられています。
15~16℃程度でお楽しみください。若いうちは、抜栓後に大きめのブルゴーニュグラスで少し空気に触れさせると、赤い果実や花、スパイス、バニラの香りが次第に豊かに広がります。